SEAnews 1999-02-23 ArtNo.18272

【シンガポール】輸出志向型シンガポール経済の健康のバロメーターとされる国産非石油製品輸出は1月に予想外の2.2％の落ち込みを見、4カ月連続のマイナス成長を記録した。
比較対象となる昨年1月が旧正月とマレーのハリラヤ・プアサの祝日が重なり就業日数が少なかったことから、一部のアナリストは8％のプラス成長を予想していたが、同月の国産非石油製品輸出は71億2000万Ｓドルと、前月の77億Ｓドルに比べても下降、8カ月来の最低を記録した。
昨年末には世界的な電子業況の活況や、ディスク・ドライブや半導体需要の回復が伝えられていたが、シンガポールの電子／非電子産品輸出は共に下降した。ロンドン拠点の調査会社Ｉ.Ｄ.Ｅ.Ａ.のアナリストは、一部の多国籍企業が生産拠点を国外に移転したこと等も影響したものと見られ、懸念すべき兆候と語った。
石油製品輸出も1月には6.4％下降し、11億Ｓドルにとどまり、総輸出は8％減の133億Ｓドルだった。1月には往復貿易も263億Ｓドルと昨年同月比7％下降、前月実績の294億Ｓドルにも及ばなかった。
米国経済が第4四半期に力強い成長を見たにも関わらず、シンガポールの輸出が何ら恩恵を被らなかったことから、アナリストらは、シンガポールの輸出競争力が、フィリピン、マレーシア、中国等に比べ持続的に下降線を辿っている証左として懸念を表明している。
1月には最大輸出市場の米国向けが昨年同月比2.3％下降した他、香港向けは－18.6％、日本向けは－15.2％、マレーシア向けは－2.1％と、何れも下降、欧州向けのみが、セル式電話機、半導体部品、医薬品等の堅調でかろうじて5.2％の伸びを見た。
こうしたことから貿易開発局(TDB)は今年の通年の往復貿易が5～7％の下降を見るものと予想している。(ST,LZ:2/21)