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1999-01-29 ArtNo.18043
◆<星>金融管理局、資産証券化振興で銀行法の改正準備
【シンガポール】シンガポール金融管理局(MAS)は新たなデット・マーケット・ツールとして最近脚光を浴びている資産の証券化を振興する狙いから銀行法の改正を検討している。
クーパーズ&ライブランドが27日主催した金融セミナーで、MASのアンドリュー・クー監督行政担当上級副部長が語ったところによると、金融機関が資産証券化の過程で顧客情報を公表することは、既存の銀行法に違反する恐れがある。MASは資産証券化ガイドラインの草案を金融機関に送付し、意見を求めており、この日曜が意見提出の締め切り期日。新ガイドラインは向こう数カ月内に発効すると言う。
資産証の券化とは、資産を再包装し、流動化させるものだが、資産を担保とした債券やローンと異なり、資産のプールは当該企業のバランス・シートから分離され、SPV(スペシャル・パーパス・ビークル)に売却される。SPVは同資産を担保にした証券を発行、得られた利益を本来の資産所有企業に支払う。当該企業はこれらの資産の管理と利子支払いの義務を負う一方、当該資産から生じた利益をこれまで通り享受できる。
MASはシンガポールにおける資産証券化ビジネスの振興に強い関心を抱いているが、同セミナーの席上、ルーシエン・ウォン弁護士は、シンガポールの厳格な銀行法が、金融機関がこうしたビジネスを手がける際の障害になると指摘した。それによるとシンガポールには資産証券化を規制する特別の法律は無く、ほとんどの企業がこの種の金融手段を利用することができる。例えば製造業者が貿易債権を売却するのは何ら問題がない。しかし銀行がそうすることは、銀行法に違反する。
ネプチューン・オリエント・ライン(MOL)は先月アレクサンドラ・ロードの本部ビルを1億8500万Sドルで売却、シンガポールにおける資産証券化の戦陣を務めた。この種の取引では、バイヤーと信用格付け機関は資産の詳細を公表する義務があるが、もし銀行がこの種の情報を公開すれば、証券法違反に問われる。銀行法47条の下、銀行は顧客が文書によりそれを認めた場合等の例外を除き、顧客の口座内容を漏らすことを禁止されていると言う。
クー氏によると、MASは、諸外国においてこの種の問題がどのように処理されているかを目下研究中と言う。(ST,BT,LZ:1/28)
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