1999-01-15 ArtNo.17912
◆<星>コンド支払い不履行訴訟の行方に各方面が注目
【シンガポール】高給コンドミニアム、アードモア・パーク購入者の支払い不履行を巡る訴訟で地裁がデベロッパーのマルコ・ポーロの主張を斥けたことから、不況下に同様のケースに直面する多くのデベロッパーやバイヤーが、控訴廷の行方に注目している。
この種のケースでは、デベロッパーは一般に、損害賠償か、支払いの履行を請求できるが、損害額算出の先例がなく、開発業者らは不利な先例を作ることを恐れて、これまで訴訟を起こすことを回避してきた。またバイヤーに売買契約の履行を請求するには、バイヤーが依然として支払い能力を有することを証明せねばならない。
一部の法律家はデベロッパーは住宅の回収と20%の頭金の没収ができるだけとしており、この場合、住宅価格が大幅に値下がりしている現状では、デベロッパーは大きな損失を被る。また他の専門家は、当初の売買契約の額と当該住宅を改めて売却した際の価格の差額が、損害額としている。
こうしたことから、マルコ・ポーロは、頭金のみを支払い、第1回目の分納金54万8773Sドルの支払いを怠った中国系インドネシア人ジェフリー・ゴンドビントロ氏に対して、上記の2方式のいずれでもない、54万8773Sドルの債務返済を要求する戦略を採用していた。
これに対してゴンドビントロ氏は、既に支払った20%の頭金を損害賠償に当て、売買契約を解消することを求める一方、未だ手にしていない住宅の購入代金を債務と見なすことはできないと抗議していた。
裁判所は結局マルコ・ポーロの訴えを棄却、同社は高裁に控訴した。仮に高裁もマルコ・ポーロの訴えを棄却した場合、同社は通常の方式に従って、損害賠償を求めるか、売買契約の履行を求めることになるが、インドネシアの動乱で支払い能力を喪失したと主張しているゴンドビントロ氏が依然そして支払い能力を有することを立証するのは困難と見られる。
このため最悪の場合は20%の頭金の没収のみで我慢せねばならないが、当該住宅を売却し、当初の売買契約との差額を損害として請求する場合も一層苦しい立場に立たされそうだ。何故なら仮に売却価格が売出価格を大幅に下回るなら、コンドミニアム全体の資産評価を下降させることになる。そうなれば第1回目の支払いを済ませた者も、継続して支払いを行う意欲を失い、一層多くの支払い不履行者が出る恐れがある。逆に比較的高値で売却され、差額の賠償額が縮小すれば、やはり支払い不履行を奨励することになる。(BT:1/14)
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