1999-01-06 ArtNo.17802
◆<星>ヘッジ・ファンドも歓迎:金融管理局
【シンガポール】多国籍企業の金融ビジネス部門誘致を目指すシンガポール当局は、近隣諸国がアジア経済危機の元凶として糾弾するヘッジ・ファンドの進出も歓迎している。
シンガポール金融管理局(MAS)のニューヨーク駐在代表、トーマス・リム氏によれば、世界に安全無害なものなど存在せず、ヘッジ・ファンドも資金、技術、経験をもたらす限り、歓迎されると言う。
シンガポールのこうした姿勢は、国際金融ハブを目指す域内諸国の競争とも密接に関係しているようだ。香港のベンチマーク、ハンセン・インデックスに倣った指数先物取引をシンガポール国際金融取引所(SIMEX)が導入すれば、香港は先物取引時間を延長してこれに対抗。シンガポールはまた350億Sドルの政府資金を餌にファンド・マネージャーや投資銀行の誘致を図っている。こうした政府準備金の管理を委ねられたファンド・マネージャーは多額の手数料収入を手にすることができる。
MASは、単に250社を超える国際金融機関とだけ述べ、誘致の具体的ターゲットを明示していないが、明らかなことは、これらの金融機関の大部分は香港に拠点を設けていること。これまでこれらのファンドは煩瑣な規制を有するシンガポールを敬遠し、香港を拠点にしてきた。しかし最近の香港政庁の市場介入で自由市場としての香港の評価が下降、逆にシンガポールの評価が急速に高まっている。
MASの幹部は、「国際的名声を有する銀行も独自のトレーディング部門を備えており、この種の部門はヘッジ・ファンド以上の弊害をもたらしている。だからと言って銀行をシャット・アウトするものはなかろう」と、ヘッジ・ファンド弊害論に水を差す。
MASスポークスマンは4日、ブルームバーグの以上の報道は、誤解を生じさせると指摘、同局はヘッジ・ファンドに限らず専門技術と経験をもたらすものなら、分け隔てなく歓迎すると強調した。(ST,BT,LZ:1/5)
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