SEAnews 1995-05-30 ArtNo.1778

【シンガポール】シンガポールの輸出競争力は労働コストやビジネス・コストの上昇に加え、Ｓドルの強化で弱体化しつつある。
米国投資会社ソロモン・ブラザーズが先週末に発表した報告書によると、今年第1四半期にはシンガポールの単位労働コストは過去15四半期以来最高の年率5.6％の上昇を記録、単位ビジネス・コストも過去12四半期以来最高の4.1％の上昇を見た。これに対して生産性の伸び率は昨年同期の7.3％から2.8％に鈍化した。同期には失業率も1.7％に下降しており、コスト上昇圧力は持続する見通しだ。また今年に入って以来Ｓドルの対米ドル相場は3.6％強化しており、こうした状況は輸出競争力の強化に役立つとは考えられない。今年第1四半期の対米輸出成長率は昨年第1四半期の16.2％、昨年第4四半期の15.3％から7.9％に鈍化、3月に限っては僅か0.9％にとどまった。シンガポール政府の発表でも、今年第1四半期の経済成長率は昨年同期の11.9％から7.2％に鈍化している。海外需要は8.5％の通年の成長見通しを実現する上では十分だが、昨年2.1％の下降を見た小売り販売や内需が顕著に回復する見込みはないと言う。しかし、同報告書は現在の成長速度は鈍化しつつあるものの、健全なペースと補足している。(ST:5/29)