1998-12-11 ArtNo.17610
◆<星>政府の健全財政の背後で民間の対外債務が急増?
【シンガポール】シンガポール政府の対外債務ゼロの模範的経済運営が国際的に高い評価を得ている背後で、民間の対外債務が急増している。
統計局が9日発表したところによれば、昨年末時点のシンガポールの対外債務は156億Sドルと、1996年末の109億Sドルに比べ43%の増加を見た。こうした債務は企業や一般個人によるもので、シンガポール政府は1995年以来対外債務が存在しない。
民間の対外債務が急増した理由の1つはSドルの対米ドル相場軟化に伴うもので、米ドルをベースにした場合は21%増の95億米ドルにとどまる。
シンガポールの1993~96年の間の対外債務の国民総生産(GNP)に対する比率は7~11%で、他のASEAN諸国の34~64%を遙かに下回る。またシンガポールの対外輸出に対する対外債務の比率も8.6%~15%と、他のASEAN諸国の37~222%を大きく下回っている。シンガポールの低い対外債務は経常収支の黒字を反映している。シンガポールの最大の債権国は英国、次いで日本。インドネシアとマレーシアは7番目と8番目の債権国となっている。
シンガポールの対外債務は外国直接投資とセットになっており、例えば1996年末時点の日本からのローンの71%はシンガポールに直接投資を行った日本企業に対するものである。
これに対して1996年末の債務証券は3億8500万Sドルに過ぎず、シンガポールではこの種の方式の資金調達がポピュラーでないことが窺える。(ST,BT,LZ:12/10)
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