SEAnews 1998-12-08 ArtNo.17560

【シンガポール】アジアが直面する経済危機や様々な領域に目にされる持続的な低迷状況から、最近の株式市況の活況やシンガポール政府のビジネス・コスト削減策にも関わらず、製造業者の多くは、来年上半期中は低調に推移し、回復は下半期まで期待できないと予想している。
ディスク・ドライブ(HDD)業界では、契約製造業務への重心移動が進んでおり、同業界の先行き見通しはまちまちとなっている。いずれにしても今年は過去3年来最良のクリスマス・シーズンになると期待した向きには若干期待はずれな状況となっている。
ＨＤＤ業界等に部品を納入しているSei Woo Rubber Worksの幹部は、「第4四半期の売上は、昨年同期を1％ほど上回る程度で、昨年の2％の伸びには及ばない」と述べ、「底入れを期待する状況にはない」としている。
日系部品メーカーの幹部は「ビジネスは上向きではなく、依然下向きで、来年第1四半期は今年の第4四半期に及ばない。回復基調は、来年下半期まで待たねばならないが、それも米国経済の堅調がそれまで続けばの話」と語った。
ＨＤＤ業界に精密部品を供給しているRayco Rubberの幹部は「今年第4四半期のセールスは昨年比30％増しで、昨年のクリスマス・シーズンから大きく改善した」とする一方、「来年1月は今年12月と同レベルと見られ、先行きは依然不透明。本格的回復は来年年央以降になるだろう」と指摘した。
一方、シーゲート・テクノロジーの地元サプライヤーらも「今年のプレクリスマス・シーズンは、昨年に比べ顕著に改善しており、今年下半期の売上は40％増し」と述べている。しかしながら、こうした企業のセールス・エンジニアの1人は「実際のところ来年2月以降に関しては、見通しが立たず、マクロ的経済環境からすれば、我々は益々競争力を失いつつある」と語った。
しかし有利な地歩を固めた企業には、強気なものも有り、電子業界や自動車業界に部品を納入するHLN Rubber Productsの幹部は「向こう2ヶ月間に製造能力の拡張を図り、増大する新規需要に対応する。こうした好況は決してクリスマス前の一時的なものではなく、顧客が益々コストに敏感になった証拠。来年は大いに期待できる」と語った。
部品流通業者Armax Technologiesも楽観的で、「第4四半期の売上は第3四半期に比べ10％増し。一部のキー・コンポーネットの売上は200％も拡大した。少なからぬ中小企業は2000年問題に対する対策を完了しておらず、これらの企業が今後続々新コンピューターを購入するため、来年初3四半期には一層の好調が見込める」と期待を表明した。(BT:12/7)