1998-12-02 ArtNo.17488
◆<星>ビジネス透明度、アジア2位、依然改善の余地:PERC
【シンガポール】シンガポールのビジネス環境の透明度はアジアでは香港に次ぎ2位にランクされるが、上場企業の情報開示の姿勢は決して積極的とは言えないと言う。
香港拠点のポリティカル・アンド・エコノミック・リスク・コンサルタンシー(PERC)によると、アジア諸国は経済危機発生以前に比べいずれもその透明度を高めたとは言え、平均点以上は香港、シンガポール、台湾の3経済体のみ。
ちなみに1~10の評価で、トップは英国の1.8(4.0)、以下2位オーストラリア2.1(3.0)、3位米国2.3(3.8)、4位香港2.8(5.0)、5位シンガポール3.6(4.4)、6位台湾3.9(6.1)、7位日本5.8(5.9)、8位フィリピン6.1(6.7)、9位マレーシア6.5(6.3)、10位韓国6.6(7.0)、11位中国6.9(8.2)、12位タイ7.2(6.5)、13位インドネシア8.4(7.4)、14位ベトナム8.5(9.5)と続く(括弧内は1997年の数字)。
シンガポール企業の会計報告はその内容の詳細さよりも正確さが注目される。これは会計報告に手を加えれば、法的制裁を受ける恐れが大きいことを企業が理解しているため。しかし一般的に必要最小限な情報を公開しているに過ぎず、積極的に情報を公開する姿勢は見られない。例えばIPCの中国における不動産投資の額は、独立の監査役により確認されていない。銀行にもローン・エクスポージャーの内容を積極的に公開する姿勢は見られない。
シンガポール政府は企業の開示レベルを米国標準まで引き上げるべく努力しているが、政府それ自身が決して透明ではなく、政治家にしろ、官僚にしろ、情報を分析の対象としてよりも戦略資源と見なしている。例えばシンガポールとインドネシアとの貿易統計を手に入れることはほとんど不可能である。シンガポールの政治的風土は、マレーシアやインドネシアに比べても不透明な部分が多く、与党人民行動党(PAP)閣僚の浮沈に関しては、政界アナリストの予想も巷間の下馬評と大差がないと言う。(BT:12/1)
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