1998-11-20 ArtNo.17347
◆<星>APECの経済危機克服能力には限界:上級相
【シンガポール】アジア太平洋経済協力会議(APEC)が、アジアの経済危機克服の面で果たし得る役割には限界が有り、当面は精神的支援の域を出ない。
リー・クアンユー上級相はこのほど英国のファイナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、以上の見解を語った。それによると、経済危機の影響を被った国が立ち直るには、金融制度改革、投資家の自信回復、外資の呼び寄せ、金利や通貨レートの調整と言ったハードルを1つ1つクリアーする必要があり、一朝一夕に解決することはできない。
中国や台湾等の市場管制を敷いた国が、短期資金の流出・流入に対する影響を有効に克服することができたとは言え、シンガポールは今後も市場開放政策を堅持する。
インドネシア政府が軍の支持の下に漸進的な改革を進めるなら、難局を打開するチャンスは大きい。しかし政府が徹底的改革を実行し、軍と反目するなら、混乱状態に陥る恐れがある。いずれにしても総選挙を通じて早期に合法的政府を組織する必要がある。
日本は既にタイ、韓国、インドネシアの救済のために多額の資金を拠出しており、日本の対応が不十分とする批判は、公平に欠ける。日本には他国にある種の政策を実行するよう要求する政治力はない。特にマハティール首相に指図できるものなどありそうにない。国際通貨基金(IMF)は米国の支持の下に、その種の役割を演じることができるが、日本にそうした役割を期待することはできない。
米国は日本カードや中国カードを用いて中国や日本に圧力をかけられるが、日本も中国も、アメリカに対してはそのようなカードを用いることはできない。中日両国が極めて親密な関係を形成するなら、それも可能だが、そうした仮説は非現実的で、それこそ日・米・中三角関係の本質と言える。(ST,BT,LZ:11/19)
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