1998-11-14 ArtNo.17272
◆<星>NWC、5~8%の賃金カット提案
【シンガポール】シンガポールの政労使3者の代表から成る全国賃金審議会(NWC)は12日、5~8%の賃金カットを提案した。
NWCによれば、5-8%の賃金カットと中央積立基金(CPF)雇用主負担率の10%ポイント引き下げにより、雇用主は、賃金コストを15%削減でき、シンガポール全体では労働コストを65億~80億Mドル・カットできる。これによりシンガポールの労働コストは、他の域内諸国同様1994年のレベルに引き戻され、投資家の自信回復、企業の競争力強化、労働者の職の安定に役立つ。
雇用主は年末ボーナスや柔軟な賃金システムの可変成分をカットすることにより、5~8%の賃金コスト引き下げを達成すべきである。相対的単位労働コスト(生産性や通貨レート等の変化も織り込んだ近隣諸国との比較賃金コスト)は過去数年上昇し続けており、加えて最近の経済危機に伴う近隣諸国通貨の下落や外需減退で、シンガポール経済の競争力は後退を強いられている。
このため企業が来年下半期にプラス成長を回復するには、コスト・カットは不可欠である。景気は恐らく2000年までに回復に転じる見通しで、その際には賃金レベルやCPF積立率に再度見直しを加えることができる。とは言えこうした回復の見通しは極めて不確かなもので、先行きは不透明である。
政労使3者の協力を通じて、危機を乗り切り、解雇や失業を回避する必要がある。管理職の賃金カットは一般労働者のそれを上回るべきであり、こうした点で公共部門は民間部門に範を示すべきだと言う。
全国労働組合会議(NTUC)はこの日、5~8%の賃金カットは年末ボーナスと賃金可変部分の削減を通じて実現されるべきであるとする声明を発表、全国雇用主連盟(SNEF)もこの日の声明で柔軟な賃金体系の下、可変給与は年間賃金コストの平均16%を占めておおり、十分4~5%のカットに応じられるとしている。(ST,BT,LZ:11/13)
|
|