1998-11-10 ArtNo.17219
◆<馬>首相、前副首相に対する捜査中止を指示:検察側証人
【クアラルンプル】マレーシア警察政治部のモハメド・サイド・アワン部長(停職中)は昨年8月15日、部下にアンワル前副首相の行状を批判する投書を示し、捜査を指示した。しかし、マハティール首相により捜査中止が指示され、警察は関係調査を打ち切ったと言う。
アンワル前副首相の職権濫用に関わる裁判の検察側証人を務めるモハメド氏が9日の公判廷で明らかにしたところによれば、昨年8月18日にアンワル氏の私設秘書の妹ウミ・ハフィルダ・アリ女史とアンワル夫人の元ドライバー、アジザン・アブバカル氏の誓書を添えて、マハティール首相に報告書を提出した。首相は8月25日になって「アンワル氏は後継者である」と宣言するとともに、警察にアンワル氏に対する捜査中止を指示したと言う。
この日モハメド氏が読み上げたウミ女史の誓書によれば、兄嫁のアンワル氏との密通に関して親友のムガ・ジュニド国内取引消費者事務相夫人に相談したところ、ムガ氏の仲介で昨年8月初めにダイム・ザイヌディン現総理府相と会見した。ダイム氏は事の一部始終を記録に留めるよう提案、その後首相の政治秘書ら3人らがウミ女史の口述を録音して持ち帰った。しかしウミ女史は後になって自身の推測は根拠に乏しく、首相への訴えの仲介に立った人々の意図も疑わしいことから、関係文書の回収を試みたと言う。
ウミ女史は同誓書の中で、自分がその主張を撤回するのは、問題の一層の混乱や拡大を回避し、自分の行為が他人に利用されるのを防止するためであると述べ、首相が問題の悪化を阻止してくれるなら、感謝するとしている。
検察側第1証人のモハメド部長の証言はこの日で終了したが、ダイム総理府相他複数の閣僚や経済界の要人の名が列挙されたアンワル氏追い落とし工作に関わる報告書を巡り、検察側と被告側弁護士の間で厳しい弁論が戦わされた。弁護側は是が非でも同報告書の提出を求めたが、検察側はそのような報告書はどこにも見あたらないと主張した。
この日はまたアンワル氏に6000万Mドルを献金した上、不倫相手の女性や男性を紹介したとされるビジネスマンNallakaruppan Solaimalaiの公判が開始された。検察側は被告の捜査過程で押収された125発の銃弾の不法所持で同氏を起訴したが、被告は罪状を否認した。同公判は5日間にわたり開かれ、検察側証人17人が証言する予定だ。(ST,BT,LZ:11/10)
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