1998-11-05 ArtNo.17159
◆<馬>アンワル前副首相、密告者の逮捕を指示:検察側証人
【クアラルンプル】アンワル前副首相は自身の行状をマハティール首相に密告した私設秘書の妹ウミ・ハフィルダ・アリ女史とアンワル夫人の元ドライバー、アジザン・アブバカル氏を逮捕し、密告内容を取り消す誓書を書かせるよう警察に指示した。
アンワル前副首相の4件の職権濫用に関わる公判の検察側証人として前日に続き4日証言台に立ったマレーシア警察政治部のモハメド・サイド・アワン元部長によると、ウミ女史がアンワル氏の行状を暴露した昨年8月5日付けの書簡をマハティール首相に送付後約1週間を経た8月12日にモハメド氏は、アンワル氏の公邸に召喚され、ウミ女史とアジザン氏を逮捕し、前述の誓書を書かせるよう指示された。アンワル氏はその後13日と16日にも同じ指示を重ねて行うとともに、長期間2人を拘留してはならず、公判廷に2人を立たせるようなことも回避するよう求めた。
警察は8月17日に2人を逮捕、両者の言い分にも根拠が有ることが明らかになったが、アンワル氏の指示に基づき、その主張を取り消す誓書を書くよう2人に求めた。
検察官が「一体どのようにして、そうした誓書を書かせたのか」と質問すると、モハメド氏は「それは政治部の秘密である」と答えた。しかし検察官の重ねての要求にモハメド氏が説明したところによると、政治部スタッフは政治的危険分子を逮捕した際は、その人物の性格を見きわめた後、転向させるか、中立化させるか、いずれかの道を選ぶ。政治に危害を及ぼさないよう中立化させることができれば、転向させるのと同じ効果を実現できる。
アジザン氏は比較的容易に転向させることができたが、ウミ女史は手間取り、そのことをアンワル氏に報告すると、アンワル氏は多少脅しをかけるようアドバイスした。それでも何とか2人の誓書を取り、アンワル氏に示すと、アンワル氏はアジザン氏の誓書には満足したが、ウミ女史の誓書には謝罪の意が表明されていないと不満を述べた。
モハメド氏は8月18日夕刻総理府オフィスにマハティール首相を訪ね、ウミ女史とアジザン氏の誓書、及び政治部の報告書を手渡したが、記憶に誤りがなければ、アンワル氏の行状を批判する手紙も合わせて首相に提出したと言う。(ST,LZ:11/5)
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