SEAnews 1998-11-03 ArtNo.17122

【シンガポール】香港の調査会社ポリティカル・アンド・エコノミック・リスク・コンサルタンシー(Perc)は、域内経済のスランプが各国の政治的社会的リスクを高める中でも、シンガポールは政治的社会的安定を維持しており、アジア諸国の中で最もリスクの小さい国と評価している。
ＰＥＲＣは、日本と異なり社会的同質性のないシンガポールのこうした安定度は特筆に値するとしている。今回の調査では今年10月半ばの社会的リスクを、経済危機が発生する以前の昨年1－3月に比較している。シンガポールのリスクは昨年の1.06から1.5に高まったが、依然としてアジア諸国中最低で、日本は1.33から2.0に上昇して2位。以下台湾2.0、香港3.5、フィリピン4.0、ベトナム4.5、中国5.5、インド6.0、タイ6.0、韓国7.0、マレーシア7.5、インドネシア9.0と続く。
報告書はシンガポールのリスクが僅かに高まった原因としては、失業率の上昇、隣国との関係悪化、中央積立基金(CPF)雇用主負担のカット等の報道に伴う国民の不安情緒を指摘している。
マレーシアのアンワル前副首相事件は、1960年代／70年代の異人種間の対立とは異なり、マレー人内部の問題だが、依然として極めて危険な社会的リスクを孕んでいる。とは言え、インフレ、失業等の経済問題は、外人労働者の送還等を通じて何とかマネージできる見通しだ。
それに引き替えインドネシアにおける社会不安は30年来最高のレベルに達しており、経済が深刻な打撃を受け、国民が食料の購入にも不自由している状況から、一層不安が高まる恐れもあると言う。(ST:11/2)