SEAnews 1998-10-31 ArtNo.17090

【シンガポール】シンガポールの失業率は6月末の2.3％から9月末の4.5％に、僅か3ヶ月間にほぼ2倍に拡大した。
リー・ブンヤン労相が29日催された全国労働組合会議(NTUC)中期見直し会議の席上明らかにしたところによると、暫定統計数字に基づけば、第3四半期には5500人が解雇され、年初9ヶ月の合計解雇者は1万9900人に達した。昨年通年の解雇者9800人に比べ、今年の解雇率は異常に高い。また6月時点の求職と求人の比率は10：8と、過去10年来初めて求人数が休職数を下回った。労働人口180万人のシンガポールで失業率が4.5％に達したと言うことは、9月末時点の失業者が8万1000人を数えたことを意味する。1985年の前回のリセッションの際には失業率は5％に達した。こうした中で全国賃金審議会(NWC)は厳しい昇給率の引き締め、あるいは給与カットの可能性さえ検討していると言う。
Vickers Ballasのアナリストは、今年末には失業率が4％に達すると予想していたが、早くも4.5％に達したことは警戒すべきシグナルと指摘した。
シンガポール産業連盟(SCI)のロビン・ラウ会頭は、もしビジネス・コストを40％、あるいは政府が掲げる数字の2倍以上カットしないなら、状況は一層悪化すると警鐘した。未だ不況は底入れの時期に達しておらず、思い切ったコスト削減が実行されないなら、第4四半期の解雇者はさらに2倍に拡大する可能性がある。これはＳＣＩメンバーに対するアンケート調査から得られた結論であり、同調査結果は来週火曜に発表すると言う。
一方、リー労相は、企業が訓練支出をカットしていることに大きな懸念を表明、雇用主に長期的な見通しに立って訓練計画を継続するよう呼びかけた。それによると今年4－9月の間に実施された技能開発基金(SDF)を利用した訓練計画は、昨年同期を36％下回った。ちなみに来年半ばまでに、“マンパワー21調査報告書”が発表されると言う。(BT,ST,LZ:10/30)