SEAnews 1998-10-07 ArtNo.16788

【フランクフルト】世界最大の貴金属精錬会社の1社に数えられるドイツ企業Degussa AGは5日、シンガポールの貴金属精錬施設を12月1日をもって閉鎖すると発表した。
デグサは声明の中で、他のアジア・ビジネスの下降を、閉鎖の理由として指摘する一方、1998年9月期のアジア業務の全般的営業額と利益は拡大したとしている。
デグサは、「シンガポールにおける精錬所閉鎖の方針は、周辺ビジネス、即ちシンガポールやその周辺諸国の宝飾産業に貴金属を供給するビジネスから撤退する戦略に沿ったもの」と述べているが、シンガポール精錬所の生産高やアジアに別にどれほどの精錬施設を有するかには触れていない。
米国の弁護士が、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)犠牲者の貴金属処分に関与した容疑でデグサを告訴した8月21日以来、デグサ株は下降し続け、この日も60マルクまで下降したが、引け値は63マルクに持ち直した。
証券アナリストは、デグサにまつわるニュースで投資家が神経過敏になり、この日も同社株は値を下げたが、後半に回復に転じたのは、人々がそれは吉報でもあることに気づいたためと指摘した。
デグサの発表によれば、電子、化学、エレクトロ・テクニカル産業に奉仕する同社のアジア貴金属部門の売上と利益は、1997／98年度に予想以上の力強い成長を見たと言う。(BT,LZ:10/6)