1998-09-19 ArtNo.16555
◆<星>金利の下降基調に関わらず、景気回復は望み薄:アナリスト
【シンガポール】シンガポールの金利は世界動向には関わりなく下降線を辿っているが、HypoVereinsbank幹部もJMサッスーンのエコノミストも、譬え金利が一層下降しても、景気回復は望めないと指摘した。
米国連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長は水曜、FRBが世界各国の中央銀行に金利引き下げを働きかけているとの噂を否定、この結果17日のストレーツ・タイムズ株価指数が5.33ポイント下降した。
アナリストらによると、シンガポールの金利も、経済危機に見舞われたアジア諸国の金利も、過去数ヶ月下降線を辿っている。シンガポールの場合、金利の下降は国内要因に伴うもので、世界の金利動向とは関わりない。消費者需要の軟化、ローン成長の減速、インフレ率の低下に加えて深刻な経済活動の萎縮で、金利下降は一つの潮流と化している。
シンガポールのインフレ率は7月にはマイナス0.4%を記録したが、地場4大行のプライム・レートは7.5%で、実質金利はほとんど8%に達する。1985年のリセッション当時も実質金利は8~9%だったが、1997/98年には4%前後に下降した。もし同パターンが繰り返されるなら、実質金利は4~5%まで下降しそうだ。またインフレ率が0.5%ならプライム・レートは一般に6%まで下降する余地がある。
とは言え、シンガポールの金利が如何に下降しても、内外の需要が共に減退している現状では、国内経済に対するインパクトは期待できない。加えてシンガポールの不動産市場は過剰供給状態に有り、金利の下降が国内経済のリフレーションを生じさせる可能性は薄い。
金利下降の1つの結果は、Sドルの軟化で、短期的に1米ドル=1.85Sドル、来年は2Sドルまで軟化する可能性があるが、このことはシンガポールの競争力を強化することにつながり、決して悪いこととは言えないと言う。(BT:9/18)
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