1998-09-09 ArtNo.16418
◆<星>アナリスト、一部石油精製施設の18カ月の運転停止提案
【シンガポール】シンガポールの石油会社は市況低迷の中で一部の製油施設の操業を12~18カ月停止して、調整を図る必要がある。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)クアラルンプル・オフィスのアラン・トムソン上級課長によれば、シンガポールの石油精製業界はその効率的でロー・コストなオペレーションを武器に困難な時期を乗り越えられる見通しで、シンガポールは域内のサプライ/トレーディング・ハブとして再浮上することができる。
域内地域を襲った金融危機で石油製品需要が低下した上に、マレーシアやタイの新施設の稼働で、深刻な供給過剰に陥っているが、他の域内の製油所は、自制心のなさや異なる戦略目標を達成するため、生産削減を行っていない。また個々の市場の規制緩和プロセスも決して協調的とは言えない。したがってシンガポール製油所のロー・コスト・オペレーションは、有効に機能していない。
目下シンガポールの製油所は10~20%の生産削減を行っており、最大のシェル製油所は僅か50%の稼働率を強いられている。需要が極度に落ち込んでいることから、一部のプラントは操業を停止、10~20%のレベルを上回る削減を行う必要も生じる可能性がある。
BCGシンガポールのイエン・スコット副社長によると、しかしシンガポール拠点の石油会社はアジアの経済危機に迅速に対応している。例えば、シェルはシンガポールに域内調整ユニットを設け、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンの製油所のために、原油の共同買付を行っている。
オーストラリアにおけるシェルとモービル、タイにおけるシェルとカルテックスの事業合併やタイにおけるカルテックスのブリティッシュ・ペトローリアム(BP)サービス・ステーションの買収と言った動きも見られる。
こうした動きはASEAN自由貿易地域(AFTA)等の要因も計算に入れた長期的見通しに立ったものといえる。
自由化の動きの中で域内市場の環境は急速に変化しつつあり、向こう12~18カ月の東南アジア市場は極めて興味深い観察対象と言える。石油会社は域内取引、サプライ・コーディネーション、ロジスティクス・マネージメントの等の面で新たな能力を発揮することになる見通しだ。
シンガポールに関してはジュロン島をベースとした石油/石油化学クラスターの形成を軸に、下流部門の付加価値活動が活発化する見通しと言う。(ST:9/8)
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