1998-08-25 ArtNo.16226
◆<馬>政府系シンクタンク、クラン港利用促進方式に疑問
【クアラルンプル】政府をバックとした民間シンクタンク、マレーシア経済研究所(MIER)のエコノミスト、Nesathurai Arunagiri氏は先週土曜、ニューストレーツ・タイムズ紙に掲載された“市場競争力こそ港湾経営の要”と題する一文の中で、ポート・クランの使用を拡大するためには国民の愛国心に訴えるだけでは不十分であると、政府の措置に疑問を提起した。
それによると国内企業がポート・クランを用いず、シンガポールを利用するのは商業的見地に立ってその方が有利と判断したためであり、政府がポート・クランの利用を促進する際には、地元業界の長期的ビジネスに影響を及ぼさないよう配慮する必要がある。政府はシンガポールの港を利用するものに懲罰を科し、加えてシンガポールに赴くトラックに対する課税率の引き上げを検討しているが、もしマレーシアがプロ・ビジネスではないと見なされるならその不利益は図りしれない。
マレーシアの多くの企業は部品や半製品をシンガポールの企業に納入しているが、政府がこうした者に懲罰税を課すなら、深刻な打撃を受け、国内運輸業の成長も阻害される。仮にジョホール、ペナン、パハンの貨物をクラン港に集積しても、依然として主要な海運会社を呼び寄せるには不十分である。しかし仮にバングラデッシュやインド東海岸市場を開拓することができれば、クラン港の成長の機会は高まる。補修施設等の支援部門の強化や優待条件付き長期契約の導入も競争力の強化に役立つ。
とは言えシンガポールに寄港した船舶はさらに36~48時間を費やしてやっとクラン港に赴くことができ、この点がクラン港の弱点になっている。仮にシンガポールと競争するならジョホール州のタンジョン・ブラパスの方が戦略的立地条件を備えている。
いずれにしても商業的利益を判断の基準とし、如何にコストを削減するかに腐心しているビジネスマンに愛国スローガンを掲げても、効果は期待できないと言う。(LZ:8/24)
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