SEAnews 1998-08-12 ArtNo.16055

【シンガポール】市況沈滞の寒風に苛まれた第2四半期を何とか乗り切ったシンガポールのディスク・ドライブ(HDD)部品業界は、7月には多少改善の兆しが目にされたものの、年内に市況が回復する可能性には悲観的だ。
ＢＴ紙がＨＤＤ部品サプライヤー5社を調査したところ、内3社が7月の売上が6月に比べ下降したと回答、2社はほぼ同水準だったと答えた。こうした売上成績は、納品する部品のタイプや納品先にも依存するが、第2四半期には5社中4社が売上の下降を、1社が横這いを報告しており、これに比べると7月の数字は若干改善している。
とは言えＨＤＤ市況が回復に転じたと判断するのは時期尚早で、サプライヤーもいつ市況が復調するかについて見通しを立てかねている。伝統的に活況を呈するクリスマス・シーズンにしても、例年よりかなり小幅な需要増を予想している。
部品流通会社の幹部によると、第2四半期の売上はほぼ完敗、1年前なら1回の商談でまとまった契約も、今では譬え1ドルにしても10回足を運ばねばならないとしている。多国籍大手部品メーカーの幹部は、「7月にも何ら底入れの気配はなく、来月も改善の見通しはない。今のところ復調の気配は感じられない」と語った。
ＨＤＤメーカー各社の第2四半期の業績を見ると、シーゲートはハイエンド・ドライブの良好な売れ行きから、僅かな利益を達成したものの、デスクトップ・ドライブ販売の22％の落ち込みを報告している。クアンタムとマクスターも利益を計上したが、ウェスタン・デジタルは引き続き損失を計上、市場シェアも後退させた。
デスクトップ・ドライブ市場は引き続き過剰供給と過当競争に直面、市場シェアを伸ばしたマクスターも7月には週4日勤務制を敷き、ストックの削減を図っている。とは言えシンガポールのＨＤＤ業界に対する市況低迷の影響は比較的軽微にとどまっている。これは各社のシンガポール工場がハイエンド・ドライブの製造を手がけているため。ハイエンド・ドライブ価格は第2四半期に底入れした。しかしハイエンド・ドライブのＨＤＤ市場全体に占める比率は依然低い。観測筋はＨＤＤ市況の回復には、デスク・トップ・ドライブ部門の一層の再編が必要で、大規模な設備削減、もしくは工場閉鎖がなされて後初めて、本格的な復調が生じると予想した。(BT:8/10)