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1998-07-27 ArtNo.15860
◆<星・馬>マラヤ鉄道タンジョン・パガル駅問題巡る攻防白熱
【シンガポール】シンガポールとマレーシア両国間の懸案事項とされてきたマラヤ鉄道(KTM Bhd)タンジョン・パガル駅移転問題が、シンガポール側が先月になって突然、通関・移民・検疫施設を8月1日をもってウッドランズに移転する方針を発表したことから、急速に白熱化している。
両国は1990年にタンジョン・パガル駅をブキティマ・ロードに移転、タンジョン・パガル駅跡地やKTMがシンガポール国内に所有する土地を共同開発することで合意、シンガポールを代表するリー・クアンユー当時首相とマレーシア政府を代表するダイム・ザイヌディン当時蔵相がいわゆる協議要点(Pointe of Agreement)に調印した。
マレーシア側はその後、タンジョン・パガルを引き続きKTMの終着駅として維持したい意向をシンガポール側に伝えたが、シンガポール側は、両国政府代表が協議要点に調印した以上、マレーシア側は同合意を履行する義務があるとして、移転の方針を変えていない。マレーシア側はこれに対して協議要点は、覚書に準じたもので、政府と国会の承認後初めて初めて発効するとの立場をとっている。
マレーシア側は1993年9月にシンガポール側と共に通関・移民・検疫施設をウッドランズに移転することを一旦認めたが、1997年6月になってマレーシア側のこれらの施設は引き続きタンジョン・パガルに留めたい意向をシンガポール側に通知した。シンガポール側はこれに対して、もしシンガポール側と共にウッドランズに移転するのでなければ、マレーシア側の施設は最早タンジョン・パガルにとどめることはできないと通知した。
マレーシア側は1998年7月10日と17日の会議の席上、マレーシア側の通関・移民・検疫施設を引き続きタンジョン・パガルにとどめる法的根拠を準備するまでの間、暫定的にシンガポール側の施設とともにマレーシア側の施設もウッドランズへ移転する考えを明らかにした。
しかしシンガポール側は、マレーシア側が当初移転を拒否したことからウッドランズの鉄道駅には、マレーシアがこの種の施設を設けるスペースが確保されていないため、国際的慣例に倣ってマレーシア側の施設はマレーシア国内に設けるよう求めた。
シンガポール側はその後1998年7月17日の会議で、マレーシア側がその通関・移民・検疫施設をジョホール州に移転するまでの間、暫定措置としてマレーシア側官員がウッドランズ駅の列車上でこの種の検査を行うこと認める方針を明らかにした。これに対してマレーシア側はウッドランズ駅のプラットフォーム上にマレーシア側の通関・移民・検疫施設を暫定的設けることを認めるよう求めた。シンガポール側は1998年7月19日マレーシア側の案を受け入れる方針をマレーシア側に伝えた。
シンガポール内務省は以上の経過を踏まえ、1998年7月24日に声明を発表、予定通りシンガポール側の通関・移民・検疫施設をタンジョン・パガル駅からウッドランズ駅に移転する方針を確認するとともに、マレーシア側の施設は暫定的にウッドランズ駅のプラットフォームに設けることで両国が合意したと発表した。
しかしマレーシア外務省は同日夕刻になって「マレーシア側が求めたのは、ウッドランズ駅の通関施設内にマレーシア側の施設も設けることであり、プラットフォーム上ではない。シンガポール副高等弁務官にこのことは通知済みにも関わらず、シンガポール内務省が依然として旧案をマスコミに発表したことに当惑せざるを得ない」との声明を発表した。
シンガポール内務省はこれを受けて25日夕刻、1993年以来のマレーシアとの間で交換された公文書を公開、マレーシア外務省の声明は事実に反すると反駁した。(ST,LZ:7/25,26)
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