1998-07-20 ArtNo.15770
◆<星>最高裁上訴廷、首相に対する名誉毀損額アップ
【シンガポール】シンガポール最高裁上訴廷は17日、野党工人党(WP)のジェヤレトナム書記長のゴー・チョクトン首相に対する誹謗問題を巡る昨年の高裁判決には誤りがあったとし、名誉毀損の賠償額を2万Sドルから10万Sドルに引き上げるとともに、ゴー首相の訴訟費用の60%ではなく全額を支払うよう被告のジェヤレトナム氏に命じた。
それによると、昨年1月の総選挙運動期間中に首相を初めとする与党指導者がWP公認のタン・リャンホン氏は反キリスト教の華人ショービニストであると宣伝したことから、タン氏は身の危険を感じ警察に通報したが、高裁のS.ラジェンドラン判事は、タン氏の警察への通報の事実を選挙演説会場で発表した被告の行為に対して以下の3つの誤った判定を下したと言う。
高裁判事は、被告にはせいぜい一時の興奮に伴う過失が有ったに過ぎないと判定したが、その実被告の行為は巧妙に仕組まれたもので、首相や他の与党指導者の名誉を傷つけ、選挙で勝利することを狙ったものであった。
訴訟公判中の被告弁護士の発言が原告の名誉を一層傷つけたとする主張に対して高裁判事は正当な配慮を払わなかった。
高裁判事は、他の名誉毀損訴訟と比較する際、それぞれの訴訟の性格や首相の地位を十分配慮せず賠償額を算定したと言う。(ST,BT,LZ:7/18)
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