1998-07-20 ArtNo.15767
◆<星>不動産開発業者、依然政府の景気浮揚策に期待
【シンガポール】ゴー・チョクトン首相は17日、市場の調整機能を損なうような景気浮揚策を政府が導入する可能性を強く否定したが、シンガポールの不動産開発業者らは依然として政府の救済措置に期待を抱いている。
ストレーツ・タイムズのアンケート調査に回答したデベロッパーらは、民間住宅の購入にも最高4万Sドル中央積立基金(CPF)補助(低利融資スキーム)の利用を認めるよう求めている。この他の提案には、オーナー自身が居住する住宅のモーゲッジ・インタレストに対する税額控除、現金流動性不足に悩むデベロッパーの命綱を務める特別不動産基金の設立が含まれる。
その実シンガポール不動産開発業者協会(REDAS)は予算外景気浮揚策が発表される以前に、政府との話し合いのたたき台としてその要望書を国家開発省に提出していた。REDASはその中で、リセール市場の公共(HDB)住宅を政府が買い上げ、外国人駐在員にリースする措置を、民間不動産にまで拡大適応すること、政府機関や法定機関は独自のビル開発を停止し、民間オフィス・ビルを使用すること等を提案していた。
REDASのダニエル・テオ会頭は、初めて民間住宅を購入する者に4万SドルのCPF補助を認めると言う提案は、筋の通った要求と指摘した。いわゆるCPF住宅補助は、HDB住宅一次市場における購入待ちの列をカットする狙いから、本来HDBから直接住宅を購入する者を対象に提供されていたCPF低利融資スキームを、HDBのリセール市場にまで拡大適応したもの。政府は既にエグゼクティブ・コンドミニアム(EC:公共/民間複合住宅)にも、この種の便宜を提供しているが、テオ会頭による、今やECと民間コンドミニアムの価格差はほとんどなくなっており、ECと民間コンドミニアムを差別するいわれはないと言う。
ゴー・チョクトン首相はこの日、民間デベロッパーの損失を尻拭いするような、救済策を政府が講じる可能性を否定したが、その実政府はREDASの少なからぬ提案を既に実行に移している。これらには、国有地の放出計画の延期、政府土地セールで落札された土地の開発期日の延長承認とペナルティー免除、住宅購入者の印紙税支払い期日の延期等が含まれる。
REDASはこの他、CPF資金による民間住宅の20%の頭金支払い承認、住宅価格の80%に制限された住宅ローン上限の撤廃、1996年5月に導入された不動産投機抑制措置の完全撤廃等を提案しているが、これらはまだ政府により受け入れられていない。
REDASのテオ会頭は、政府がこれまでに採用した措置に歓迎の意を表明するとともに、政府が国有地落札者からこれらの土地を買い戻すなら、開発業者の苦境乗り切りの助けになるばかりでなく、市場の供給過剰を緩和できると指摘した。(ST:7/18)
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