1998-07-14 ArtNo.15693
◆<星>アジア経済危機がドイチェ・テレコムの域内投資を直撃
【シンガポール】過去数年、域内事業に積極的な投資を行ってきたドイチェ・テレコム(DT)は、アジア経済危機の深刻な打撃を受けているが、依然としてアジア市場から撤退する考えはないようだ。
DTはこれまでに20億米ドル余を域内合弁事業に投入しており、アジアの経済危機さえなかったら、今頃は投資を回収、配当も期待きたところだが、今や合弁事業に一層の資金注入を余儀なくされている。
DTのロン・チェスタートン副社長によると、同社が25%出資するIPTサテライト・パラパ・インドネシア(サテリンド)は、当初の計画では今年公募上場し、投資の一部を回収できたはずだが、域内経済危機で公募計画は少なくとも2年先に繰り延べられた。域内合弁事業は既に収入を上げているものの、インフラ整備等に一層の資金注入を必要としている。しかし地元パートナーが財政難に陥っていることから、DTが替わって資金を注入せねばならず、同社の持ち分も拡大することになる。域内諸国はテレコム事業に対する外資の持ち分を制限してきたが、こうした制度は今や修正を強いられている。
モルガン・グレンフェルによると、1996年にDTがマレーシアのテクノロジー・リソーシズ・インダストリーズ(TRI)の権益取得に支払った額を、電話契約者1人当たりに換算すると368米ドルになり、外資が東南アジアのテレコム企業の権益買収に支払った額としては最高額となっている。例えばUSウェストはビナリアンの権益を1995年に同上162米ドルで手に入れている。しかし通貨危機にともなう株価暴落で、こうした投資は今や微々たるものになった。例えばTRIの株価は当時の3分の1以下になっている。(BT:7/13)
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