1998-07-11 ArtNo.15675
◆<印度>バスカルドゥ氏、政府とスズキの取引に反撃?
【ニューデリー】Maruti Udyog Ltd(MUL)のマネージング・ディレクター(MD)、RSSLN Bhaskarudu氏はインド政府とスズキの和解パッケージ受け入れを拒み、同パッケージが成立したプロセスや道義性に疑問を提起、政界、取り分け野党陣営やインド産業連盟(CII)への働きかけを強化している。
エコノミック・タイムズが11日報じたところによれば、バスカルドゥ氏の論点の1つは、CIIのメンバーやオフィシャルがMUL株主の紛争を調停するのは妥当か、例えばTarun Das氏やRajesh Shah氏(両氏はSikander Bakht工業相のために政府とスズキの調停役を務めたと言われる)が、Bajaj AutoやTatasの株主の紛争を調停するのは妥当かと言う点である。
バスカルドゥ氏は、同氏を抜きにして交渉が進められ、最終的に自身が犠牲にされた和解のプロセスに加え、同氏と親密とは言えないJagdish Khattar氏が後任に選ばれたことに、苛立ちを覚えたようだ。またインド政府が、バスカルドゥ氏の能力を理由に掲げたスズキの要求を受け入れ、同氏の5年のMD任期を3年に短縮したことに深く傷つけられたものと見られる。
バスカルドゥ氏は、関係交渉が密室で進められ、政府官員やインド人民党(BJP)の閣僚さえ関知せぬ状況下に和解パッケージが準備された点にスポットライトをあてようとしているようだ。
観測筋は同氏の主張にも一理あるが、そうした観点からのみMUL問題を判定することには同意しかねている。Sikander Bakht工業相は、既に「MULを存続させるためには、如何なる代償を支払っても紛争を解決せねばならない」と指摘している。
バスカルドゥ氏は、企業倫理、企業規律の問題として、政府及びCIIの姿勢を問うていく意向と見られ、特にCIIに対する攻勢を準備中と言われる。
バスカルドゥ氏はMULの内部では、スズキ側を代表する齋藤会長により提案された2つの資材調達委員会の設立に待ったをかけ、マネージング・ディレクターの同氏も当然、メンバーに加えられるべきであると主張していると言われる。
一方、バスカルドゥ氏を犠牲にした政府とスズキの和解に抗議し、今日ストを行う予定のMUL労組は、スト回避を図る会社側と木曜の深夜まで密室会談を行ったようだが、会談の内容は明らかにされていない。(ET:7/9,10)
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