SEAnews 1998-07-08 ArtNo.15621

【クアラルンプル】マレーシア経済は依然として苦痛を伴う調整を必要としているが、Ｍドル相場の波乱は峠を越し、国内景気も今年第4四半期には底入れする見通しだ。
マレーシア経済研究所(MIER)のモハメッド・アリフ主任(ED)によると、Ｍドルの下降と国内経済の低迷で、貿易収支の黒字が拡大、国際収支は改善している。インフレ圧力は続くものの、景気の底入れは近い。とは言え域内経済が全般に低迷していることから、危機以前の状態に回復するには2～3年を要する。
マレーシアの長期／短期の対外債務、デット・サービス・レシオ、インフレ、失業率はいずれも低く、加えて貯蓄率が高く、金融制度も比較的健全なことから、マレーシア経済の基盤は健全で、韓国、タイ、インドネシアと同一視することはできない。
しかし政府の政策上の誤りも否定できない。高度成長のコストを軽視し、その弊害が顕在化した後も高度成長政策に執着したことがその1つ。政府はインフレ抑制には努力したものの、関税引き下げや外人労働者の大量導入により、対外債務の拡大を招いた。未熟練外人労働者の大量導入は、政策ミスであり、労働者の送金だけでなく、多くのメガ・プロジェクトにより国際収支の悪化が加速された。
しかし今回の危機でポリシー・メーカーがよりプラグマチックになり、地に足のついた政策運営を志向するようになったことは収穫と言う。(STAR:7/7)