1998-07-06 ArtNo.15590
◆<星・馬>観光/CPF問題で紛争再燃
【シンガポール/クアラルンプル】シンガポール外務省は3日、シンガポールが故意に半島マレーシアの観光事業を妨害しているとのマレーシアのサバルディン・チク文化観光相の発言は根拠が無いとする声明を発表した。また翌4日にはリム・ブンヘン無任所相がサバルディン観光相に謝罪を要求した。
外務省スポークスマンによると、一部のマレーシアの新聞は過去数日、サバルディン観光相の発言を大きく取り上げたが、この種の事実無根の非難は良好な二国間関係の発展を阻害する。
サバルディン観光相は、来年のロータリー・クラブ年次会議の主催国を務めるシンガポールが故意にロータリー・クラブ会員の観光目的地から半島マレーシアを排除したと非難したが、年次会議の主催委員会には半島マレーシアの代表も含まれている。またサバルディン観光相が批判の根拠としたパンフレットは主催委員会が作成したものではなく、ロータリー・クラブ・インターナショナル本部により依託されたロスアンゼルス拠点の観光会社が、アンケート調査に基づいて作成したものである。同パンフレットは、タイと香港の他、東マレーシア(サバ/サラワク)をカバーしていると言う。
これに対してサバルディン観光相は4日、関係パンフレットに東マレーシアのみが紹介され、半島マレーシアが欠落している事実を指摘したまでで、如何なる方面を非難した訳でもないとの談話を発表した。
一方、マハティール首相は3日、シンガポール当局が東マレーシアからの出稼ぎ労働者に対しては、シンガポールにおける就業契約の停止に伴い中央積立基金(CPF)預金の払い戻しに応じながら、半島マレーシアからの労働者には払い戻しを行わない理由が分からないと語った。
マレーシアのリム・アーレク労相はハノイにおける最近のASEAN労相会議の席上、非公式に同問題をシンガポールのリー・ブンヤン労相と協議、マハティール首相自身も同じ時期にシンガポールのゴー・チョクトン首相と関係問題を話あったと言う。
ニュー・ストレート・タイムズによれば、半島マレーシアの国民はシンガポールのCPFに24億Mドル相当の預金を有するが、これらの預金は55歳時、あるいは50歳の時点で2年以上シンガポールで就業していなければ、引き出すことが認められると言う。
マレーシア全国労働組合会議(MTUC)のザイナル・ランパ議長は3日、シンガポール政府は直ちに関係法に修正を加え、マレーシア国民の汗の結晶を返還すべきであるとの声明を発表した。
しかしシンガポールのジャヤクマール外相は先週月曜、半島マレーシアの出稼ぎ労働者のCPF預金問題は、シンガポールとマレーシアの長期的二国間協力の基礎の下に、水供給問題やシンガポール国内のマラヤ鉄道所有地再開発問題等とセットにして解決が図られると語った。(ST,BT,LZ:7/4,5)
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