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1998-07-06 ArtNo.15586
◆<星>非リセッション地区への資産移動が急務:上級相
【シンガポール】アジアの経済状況がさらに悪化すれば、シンガポールもリセッションに陥らざるを得ない。このため営業コストの引き下げや景気浮揚策と同時に、経済的リソース、取り分け投資/貿易/観光のリソースを未だリセッションに陥っていない地域、例えば米国や欧州に移動することが当面の急務である。
リー・クアンユー上級相はこのほど(6/24)ビジネス・ウィークに対して以上の見通しを語った。同相によると日本は参院選挙後に金融制度改革に本腰を入れて取り組むものと見られる。金融制度改革は日本の景気回復にとって不可欠であり、また日本の景気が回復しないなら他のアジア地域は深刻な不利益を被る。
米国はアジアに対して何か他にできることが有るかとの質問に、上級相は、「日本を先ず救済する必要が有り、日本経済の回復は他のアジア諸国の復調の助けになる」と指摘した。同相によると、日本に次ぐのは、インドネシアの救済であり、確かに国際通貨基金(IMF)による資金援助はインドネシアのマクロ経済政策に対する信頼回復に役立つが、インドネシア国内の企業家/銀行家/卸・小売り業界の自信の回復は、インドネシアの指導者自身にかかっていると言う。
マレーシア経済もインドネシアと同様かと問いに、リー氏は、「マレーシアの事情は異なる。マレーシアには暴動は生じておらず、マハティール首相の地位を脅かすものも存在しない」と答えた。
高金利政策が投資誘致や過剰借入の抑制、ひいてはアジア経済の回復に役立つとの見方に関して、リー氏は「高金利はアジア経済を鞭打っている。ローカル通貨の相場とその国の経済は何の関係もないと言うのが通貨取引業者の見方だろう。高金利政策は特定の一国が通貨危機に陥った際は、効果を発揮するが、今回は域内全体が危機に直面しており、一国に障害が生じれば、全地域が影響を受ける」とコメントした。
外部の勢力がアジア経済を破綻させたと言うマハティール首相の見方に同意するかとの質問にたいしては「アジア諸国が外国資金を利用する際は、サーキト・ブレーカーを設け、急激な外資の流入や逃避をコントロールする必要がある。完備した銀行法や監督システムが存在しない状況の下では、中国のように市場開放を制限することも、あながち悪いことではない。そうすれば過去5年間のような高度成長は実現できなかったろうが、そう簡単に破綻することもなかったろう」と指摘した。(ST,BT,LZ:7/4)
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