1998-07-01 ArtNo.15526
◆<星>政府、S$20億予算外パッケージで景気浮揚
【シンガポール】リチャード・フー蔵相は月曜(6/29)、地元企業融資スキーム(LEFS)の貸付限度額の倍増、国有地払い下げの凍結、賃貸料や各種公共料金のカットを骨子とする総額20億Sドルの予算外景気対策パッケージを国会に上程、同時に2月に発表した2.5~4.5%の今年通年の国内総生産(GDP)成長予測を0.5~1.5%に下方修正したことを明らかにした。
それによると、金融業界の困難乗り切りを支援するため、減税対象になる一般引き当てに対する3%の上限規定が撤廃された。
証券市場の取引が急減する中でブローカーの窮状を救うため、株式取引に対する印紙税が1年間免除される。これにより政府は約5000万Sドルの歳入を失うことになる。
総額19億Sドルの新規公共プロジェクトの認可。これにより今年だけで6億7000万Sドルの政府支出が追加される。内40%は主に教育インフラの改善に、残りは広帯域ネットワーク“シンガポールワン”や人工島ジュロン・アイランドの造成計画等、経済インフラの強化に当てられる。
商業/工業不動産税の40%追加払い戻し。政府は2月に発表した新年度予算案の中で既に15%(S$3.34億)の不動産税払い戻しを発表しており、今回の追加で、政府歳入はさらに4億Sドル減少する。
地元企業が十分な運転資金を確保できるよう、LEFSローンの最大貸出限度をさらに9億Sドル拡大する。政府は2月に新年度予算案を発表した際、7億6000万Sドルを追加し、最高限度を11億Sドルに引き上げていたが、今回の追加で限度額は20億Sドルにほぼ倍増した。政府は2月にはローン・リスクの50%を引き受けていたが、フー蔵相は今回、必要が認められれば、政府が一層のリスク負担にも応じる用意があることを明らかにした。
新パッケージにはやはり法人税や所得税の引き下げは含まれていなかった。同パッケージで、今年は過去10年来初の8億Sドルの予算赤字が見込まれている。フー蔵相は、また域内経済の不振から、シンガポール経済も向こう数年低成長が続く可能性を指摘した。(ST,BT,LZ:6/30)
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