1998-06-08 ArtNo.15226
◆<星>域内金融制度の脆弱さと指導者の言論が危機招来:上級相
【東京】リー・クアンユー上級相は5日、日本経済新聞主催の国際会議の席上、東南アジアの脆弱な金融制度がアジアの経済危機を招来した原因の1つとするとともに、一部の国の指導者は急速に変化する世界の潮流を理解せず、依然として60年代の方式により90年代の問題を処理しようとしていると批判した。
それによると一部の指導者は、今になっても依然として直面する問題の本質、すなわち投資家の信頼問題を理解していない。出席者からマレーシアのマハティール首相の言論に関して意見を求められた上級相は、「Mドルと株価がともに下降している最中に、マハティール首相は、投資家を攻撃する発言を行い、投資家のマレーシア市場からの全面撤退を招いた」と指摘した。リー氏によれば、タイ経済は4年で回復に転じるが、マレーシア経済の回復には5年を要すると言う。
一方、東南アジアの通貨危機の中国に与える影響に関して、リー氏は、中国は香港経済に深刻な打撃を与えないためにも、人民元相場の維持を図るものと見られ、中国の1億4000万米ドルの外貨準備をもってすれば、1年乃至18ヶ月間は人民元の下落を回避できるとの見通しを示した。
それによると、仮に今後1年でアジア諸国通貨の対米ドル相場が危機発生前の30~40%低いレベルで安定するなら、その時点で中国が人民元の対米ドル相場を10~15%下降させても、それほど大きな混乱は生じない。しかし域内経済が一層悪化し、日本円もこれに伴ってさらに下落するなら、中国の輸出品の競争力は失われ、投資も減少、経済成長の鈍化を招くと言う。(LZ,ST,BT:6/6)
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