1998-06-06 ArtNo.15207
◆<星>今年の世界半導体チップ売上、1.8%ダウン
【シンガポール】今年の半導体チップ世界売上は、アジア通貨危機の余波で1.8%のマイナス成長を記録する見通しだ。
米国拠点の半導体産業協会(SIA)は、水曜発表した世界半導体貿易統計(WSTS)の中で以上の見通しを示した。SIAは当初17%の成長を予想していた。これ以前には、市場調査会社データクエストも1998年のチップ産業の成長見通しを、アジア通貨危機を理由に17%から8%に下方修正、国際半導体設備/材料協会(SEMIA)も今年はチップ・メーカーの設備需要が12%下降すると予想していた。
WSTSは今年第1四半期のチップ販売が昨年同期比0.4%、前期比10.3%の落ち込みを見たのを受けて、通年の世界チップ販売を1346億米ドルに下方修正した。データクエストは今年の世界チップ販売を1590億米ドルと予想している。
WSTSによると、第1四半期にはアジア太平洋地域のチップ販売は昨年第4四半期に比べ9.7%下降した。しかしより一層懸念される点は、米国における売上が10.2%も下降したこと。日本における売上は11.5%、欧州のそれは4.9%、それぞれ下降した。WSTSは今年通年でアジア太平洋地域売上は最終的に3.2%成長するものの、米国のそれは4.1%下降すると予想している。
WSTSはさらにDRAMチップの売上が昨年の21%に続き、今年も27%の落ち込みを見ると予想している。しかし市場の供給過剰状況が今年末には一掃されることから、来年は27%の成長が回復されるとしている。WSTSもデータクエストも1999年の半導体チップの販売は17-18%の成長を見ると予想している。
当地アナリストらは、シンガポールの輸出や製造業の不振に加え、過去3四半期の米国における電子部品の新規発注の鈍化から、WSTSの報告は驚くに当たらないとしている。
GKゴーのアナリストは、チップ価格が予想もしなかったレベルまで落ち込み、さらに値下がりを続けているため、今後どのように事態が推移するかを予測するのは極めて難しいとしている。エコノミストらは半導体、ディスク・ドライブ、PC(パソコン)の市場動向からシンガポールの製造業は今年0.9~4%のマイナス成長を記録すると見ている。(BT:6/5)
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