1998-06-05 ArtNo.15197
◆<馬>首相、通貨危機収束後に引退示唆
【東京】マハティール首相は3日、通貨危機後に政権交代することには問題がなく、重要なことは順調に政府と党の指導権を新指導者に譲り渡すことであると指摘した。
ロイター社のTVインタビューに応じた首相は、さらに来年政権が交替する可能性に関して、「何時でも可能だが、目下マレーシアが取り組むべき優先課題は通貨危機を克服することである」と語った。
それによるとマレーシアの第1四半期の国内総生産(GDP)が1.8%のマイナス成長に陥ったことが深刻に受け止められているが、通年の成長率に関してはそれほど悲観的見通しを抱いておらず、急速な回復も可能と見ている。しかし市場動向は抑制できず、その行方を予測することも難しい。
マレーシアは貿易比重に基づく通貨バスケットにMドル相場をリンクさせることを計画、多くの国と同問題を協議している。日本の貿易比重は極めて大きく、このため円建てによる貿易取引を通じて円の軟化に伴う恩恵を享受することを望んでいる。円の軟化は懸念しているが、マレーシアは低コストな資本財や中間財を日本から輸入し、加工輸出することにより、輸出競争力を強化できる。
自分は再三にわたり金利引き下げの必要を訴えてきたが、いわゆる金利とは銀行が資金コストを補填するために徴収する利子も含む“有効金利”の意味で、有効金利は一般に中央銀行の貸出金利を上回る。目下の有効金利は15~16%だが、これを10~11%の中央銀行の基準金利レベルまで引き下げられるなら、問題は解消、インフレ率も一定レベルに維持できる。
銀行の不良貸付を集中管理する目的で設立されるアセット・マネージメント・カンパニー(AMC)に政府は60%出資、残りは民間資金を導入する計画だが、外国投資家が20~30%出資することも歓迎すると言う。(NST,BT,LZ:6/4)
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