1998-06-03 ArtNo.15165
◆<星>蔵相、今年通年のGDPマイナス成長の可能性否定
【シンガポール】リチャード・フー蔵相は1日の国会答弁で、第2四半期の国内総生産(GDP)の成長が一段と鈍化する可能性はあるものの、通年でマイナス成長を記録する恐れはまずないとの見通しを示した。
それによると、政府は第2四半期の経済動向を把握した後、予算外景気浮揚策を講じるか否かを決定する。第2四半期のGDP統計は7月半ばに発表されるが、それまで待つ必要はなく、政府は今月半ばにも予算外措置を講じるか否かを決定する。それまでには5月の貿易統計が明らかになるためで、これにより第2四半期の経済動向を把握できる。
シンガポールの経済基盤は幅広い領域をカバーするとともに、良好なバランスを保っており、域内経済の不振だけでマイナス成長に陥る恐れはない。米国と欧州の健全さがシンガポール経済の支えになるはずである。
今年第1四半期には香港とマレーシアがそれぞれ2%と1.8%のマイナス成長に陥り、インドネシア経済は通年で10%のマイナス成長が予想されているが、政府は今年通年の2.5-4.5%の成長見通しを修正する考えはない。しかしインドネシアの動向如何では、同範囲のボトムに近い水準になる可能性はある。
シンガポールのこれまでの年率7~8%の成長に比べ、今年の成長率があまりにも低水準であると、懸念する向きも有るが、その実政府はこの種の高度成長を長期にわたり維持できないことを繰り返してきた。政府の中期的成長目標は4~6%である。政府はマクロ的視野に立ち、首尾一貫した経済運営を目指しており、局所的対応措置は好まないと言う。(ST,BT,LZ:6/2)
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