SEAnews 1998-05-30 ArtNo.15114

【シンガポール】シンガポールの4月の製造業生産は、電子産業の4.7％の落ち込みに足をとられ、僅か1.3％の成長を見たにとどまった。
電子産業は製造業生産の45％を占め、製造業はシンガポールの国内総生産(GDP)のほぼ4分の1を占めている。
経済開発局(EDB)が28日発表したところによれば、過剰供給の持続がディスク・ドライブ(HDD)生産を低迷させ、海外需要の軟化がパーソナル・コンピューター(PC)の生産に打撃を及ぼした。消費用電子産業は再度マイナス成長を記録、新参者が加わったにも関わらず通信機器の生産も落ち込みを見た。電子部門の中でプラス成長を見たのは、半導体、プリンター、プリント基板アセンブリー(PCBA)のみだった。この結果同部門の年初4ヶ月の成長率も2％に鈍化した。
製造業の1.3％の成長は、2月の16％、3月の8.7％から著しく鈍化しており、シンガポール経済全体の急速な冷え込みの前兆ではないかと懸念されているが、年初4ヶ月の平均ではなお4.6％の成長レベルを保っている。
先週は国産非石油製品輸出の1.6％のマイナス成長が発表され、製造業生産のスローダウンは予想されていたことだが、アナリストらは輸出志向産業の顕著な落ち込みに特に懸念を表明している。ＧＫゴーのアナリストは、「僅かなプラス成長を長期間維持するのは不可能で、警戒すべき状況」と指摘した。
しかしSocGenクロスビーのアナリストは化学部門に新設備が稼働することから1ヶ月後には製造業生産の成長が多少浮揚されると語った。化学部門は石油化学部門の新設備が稼働したため、4月も好調な23.9％の成長を見、年初4ヶ月の成長率は16.2％となった。
エンジニアリング部門の成長は精密工学部門の不振が輸送機器部門の好調を相殺し、前月の11.9％から5.3％に鈍化、年初4ヶ月の平均成長率は11.2％になった。(ST,LZ,BT:5/29)