1998-05-14 ArtNo.14903
◆<星>ナットスチール、域内投資減価でS$1.15億抹消
【シンガポール】中核とする製鉄ビジネスからの多角化に努める政府系上場企業ナットスチールは、経済危機に見舞われた域内市場における投資資産の減価から1億1500万Sドルの帳簿抹消を強いられている。
ナットスチールの年次報告書によれば、特別項目の損失は、子会社の株式公開で得た6600万Sドルの利益で相殺しても、依然として4600万Sドルにのぼる。
帳簿抹消された1億1500万Sドルの内、6800万Sドルはマレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンにおける損失で、残りの4700万Sドルはそれ以外の地域におけるもの。残りの4700万Sドルが投資された地域や、投資対象に関しては触れられていない。
同社幹部は4700万Sドルに不動産投資は含まれていないとするとともに、総資産や総投資額に比べれば、それほど大きな額ではなく、日常業務に影響はないとしている。
とは言え1億1500万Sドルは8億1600万Sドルの株主資本の14%、6億4700万Sドルの時価総額の17%に相当する。例えば先週シンガポールランドは不動産投資の減価から1億1200万Sドルを帳簿抹消すると発表したが、同社の株主資本は37億3000万Sドル、時価総額は13億5000万Sドルにのぼる。
ナットスチールは、昨年は営業活動から3000万Sドルの純収入を得たが、資本支出は5億2000万Sドルにのぼり、不足分は借り入れにより賄った。
しかし今年は、年内に返済を要する債務が3億7000万Sドルにのぼり、資金繰りがタイトになっている。過去2年は、子会社の株式公開を通じて、かなりの資金を調達したが、証券市場の低迷から、さらに子会社を上場させることは困難で、当面銀行から9億3000万Sドルを新たに借り入れるか、一部の資産を処分せざるを得ないものと見られる。
1997年12月期のナットスチールのボトム・ライン利益は、特別項目の損失が4620万Sドルに83%アップしたことから1070万Sドルに65%ダウンした。(BT:5/13)
|