SEAnews 1998-05-12 ArtNo.14873

【シンガポール】シンガポールの民間住宅不動産価格は今年第1四半期に7四半期連続、しかも80年代半ば以来最悪の前期比9％の落ち込みを記録した。
都市再開発局(URA)の最新報告書によれば、これにより民間住宅価格は1996年半ばのピーク以来7四半期間に24.2％の下降を見たことになる。
コリアーズ・ジャーディンのアナリストによれば、今回の落ち込みは1985年第3四半期に記録された7四半期通算23.6％の下降を上回っている。また1986年第2四半期にマークされた四半期ベースで8.93％の落ち込み記録も塗り替えた。
不動産業会のアナリストらは、1984年から1986年の間にマークされた連続2年半、合計36.2％の落ち込みのベンチマークが、持続時間の上からも、落ち込みの度合いからも、更新されるものと予想している。
コリアーズ・ジャーディン幹部は、「前回の不況は国内問題に起因したもので、対応の余地があったが、今回は外的なものでシンガポール政府の力の範囲を超えている。また見たところ、新たな通貨／証券市場の波乱が到来しそうだ」と指摘した。
デベロッパーらは、国内景気の不振ばかりでなく、過剰供給問題にも直面している。既に販売許可が下りていながら売約されていない未完工の民間住宅は昨年末時点で1万7000戸存在し、同数字には完工済みの未成約住宅は含まれていない。こうしたことからPrudential-Bacheのアナリストは、ＵＲＡの民間住宅価格指数は年内にさらに10％、来年第1四半期にも10％落ち込み、市況の底入れは来年末と予想した。
ＵＲＡの統計によると、今年第1四半期にはコンドミニアム価格は9.9％、アパートは9％、デタッチ・ハウスは12％、セミディタッチは7.9％、テラス・ハウスは6.6％下降した。
第1四半期の不動産の値下がりは、住宅に限ったものではなく、倉庫は22.1％、オフィスは4.5％、店舗は3.3％、工場は4.7％、それぞれ下降している。(ST,BT,LZ:5/9)