1998-04-29 ArtNo.14737
◆<星>外国製造業投資、今年は大幅下降も:アナリスト
【シンガポール】域内の電子産業や石油化学業界に見られる供給過剰現象から見て、シンガポールにおける外国企業の今年の製造業投資は昨年をかなり下回りそうだ。
アナリストらは、投資家の域内経済に対する自信喪失、シンガポール周辺諸国におけるより低廉な投資機会等からすれば、今年の外国投資が昨年のレベルを下回るのはほとんど確実と指摘する。
最近地元紙のインタビューを受けた経済開発局(EDB)のフィリップ・ヨー会長は、今年の外国投資約定額が昨年実績の85億Sドルのレベルに達するか否かに関して「タフなジョブ」とするとともに「最悪の場合は昨年実績を多少下回る可能性があるが、最善を尽くす」、「鍵は投資家の自信で、これらの投資家がマーケット・コンディションをどう判断するかにかかっている」等と語った。
しかしエコノミストらは、今年の外国投資が昨年実績を多少下回る程度では収まらず、かなり大幅に下降する可能性を指摘、Vickers Ballasのアナリストは60億Sドル台と予想した。
昨年約定された外国投資の大きな部分が電子産業と石油化学産業に集中(45%/30%)、両部門はシンガポール経済のツイン・エンジンを成している。しかし現在の電子産業のサイクルは決して投資の好機とは言えず、半導体もハイエンド・ディスク・ドライブ(HDD)も供給過剰に直面している。JMサッスーンのアナリストは、「HDD業界は設備過剰に直面、取り分けハイエンド領域ではそうした傾向が顕著になっている。ローエンド領域は依然動きが見られるが、同領域はシンガポールには適さない」と語った。
域内の石油化学産業もほぼ同様な問題に直面している。Vickers Ballas幹部は「投資家は設備過剰の解消と域内通貨危機の鎮静化を待って初めて新規投資を考えるはず」と指摘、GKゴーのアナリストは「最悪の時期は乗り切ったにしても、通貨危機の実際の影響は今後徐々に顕在化するものと見られ、事態は依然過渡期にある。こうした時期には企業も性急に投資は行わないだろう」と見通した。
リー・シエンロン副首相も最近、外国投資の3分の1を占める日本経済の低迷に懸念を表明した。EDBのヨー会長は、こうした点について「多くの事柄が我々の制御の範囲外にあるが、最善を尽くす」と繰り返した。(BT:4/28)
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