SEAnews 1998-04-24 ArtNo.14685

【シンガポール】ＲＨＢグループはサイム・バンクの買収計画を発表後6週間を経た今になっても、如何なる契約も結ばれていないとしているが、アナリストは、買収交渉の難航は決して資金不足が唯一の原因ではないと指摘する。
消息筋によれば、新たな問題が、交渉を停頓させている。これ以前には優良ローンと見なされていたものが、点検した結果、その回収が極めて困難なことが明らかになった。
サイム・バンクは3月2日に、1997年12月期の半期決算で15億7000万Ｍドルの損失を計上、不良貸付は貸付総額の19％、約40億Ｍドルにのぼり、18億Ｍドルを引き当てると報告した。しかしＲＨＢの調査の結果少なくとも新たに6億5000万Ｍドルのローンの回収がほとんど不可能なことが明らかになった。某有力者2人に関わるローンは無担保で貸し付けられているもようで、この内1社は既に管財人の管理下にあり、もう1社も財政破綻に瀕している。
ＲＨＢは3月10日、サイム・バンクを8億5225万Ｍドルで買収すると発表したが、同行の再建には別途12億Ｍドルの注入が必要になる見通しだ。ＲＨＢとしては、買収価格の引き下げを再交渉するか、取引を破談にするかだが、前者を選べば、サイム・ダービー・グループは一層深刻な打撃を被ることになる。またＲＨＢのサイム・バンク救済計画を重視するマレーシア政府との関係上、後者を選択することも極めて困難と見られる。
一方、政府の強い要望を背景にサイム・バンクの買収を引き受けたＲＨＢは、政略結婚の代償にある種の持参金も期待したようだが、当てにしていた国策投資会社プルモダラン・ナシオナルBhd(PNB)、被雇用者積立基金(EPF)、国営石油会社ペトロナスのいずれの方面からの資金調達も難航、買収資金の調達に窮している。アフィフディン・オマル副蔵相は22日の国会でＥＰＦは同取引に関与していないと答弁したが、マレーシアン・ビジネス・タイムズによれば、一般の強い反発に直面し、ＥＰＦは同取引に関与せぬ方針を決めたとされる。今年1月末時点のＲＨＢのバランスシートを見ると、負債総額が34億Ｍドルにのぼるのに対して現金準備は2000万Ｍドルに過ぎない。負債総額はＭドルの軟化等でその後さらに38億Ｍドルに拡大したとされる。(BT:4/23)