1998-04-22 ArtNo.14648
◆<星・日>インドネシア経済危機への対応で利害一致:PERC
【シンガポール】東南アジアの経済危機への対応では、日本とシンガポールは多くの点で利害を等しくしており、インドネシア問題はその典型と言う。
香港拠点の調査会社ポリティカル・アンド・エコノミック・リスク・コンサルタンシー(PERC)の最新報告書によれば、インドネシアに近接し、貿易/金融/投資面で密接な関係を有するシンガポールは、インドネシアの政治的経済的動揺により最大の影響を受けるが、日本はインドネシアの公共/民間部門に総額230億米ドルの借款を供与しており、既に問題百出の日本の金融業界はこうした借款の返済が滞れば深刻な打撃を受ける。
日本はインドネシア問題の処理でもあるいは米国の驥尾に従うものと見られるが、もし真に国益を重視するならシンガポールと緊密な連携をとるべきである。日本はインドネシア援助を既に約束しているものの、成果は上がっておらず、シンガポールがインドネシアに対する多角的な信用保証を提案した際も、積極的な支持は表明しなかった。
こうした点からも、シンガポールが域内危機の影響を深刻に受け止めているのに対して、日本は依然として国内経済問題を域内経済問題に優先させていることが窺える。またシンガポールが域内通貨の安定に大きな関心を寄せているのに対して、日本は域内諸国がどこまで経済改革を実行し得るか観望姿勢を採っていると言う。
同報告書はまた外国直接投資や貿易面でシンガポールの日本への依存度が低下しているのに対して、日本のシンガポールへの依存度が高まり、今やシンガポールが日本を必要としているのではなく、日本がシンガポールを必要としていると指摘している。
またPERCによれば日本が金融市場を開放すれば、円は一層値下がりする可能性が有るが、シンガポール・ドルの対米ドル・レートも既に大幅に下降しており、一部のファンドは北東アジアではなく、東南アジア、特にシンガポールに流入していると言う。
同報告書は引き続きシンガポール、香港、日本をアジアにおける最もリスクの少ない地域として列挙しているが、ASEANのリスクが顕著に上昇したのに対して、中国、香港、台湾のリスクが低下したと分析している。(LZ,BT:4/21)
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