SEAnews 1998-03-14 ArtNo.14175

【シンガポール】シンガポールはあるいは永遠にシリコン・バリーには成れないかもしれないが、シリコン・バリーに学び、多少なりとも接近することは可能で、政府の目標は創造的人材を誘致し得る総合的な環境を整えることにある。
ジョージ・ヨー第二通産相は12日の国会答弁で、政府の姿勢を以上のように説明した。この日、与党のインデリジット・シン議員は、「米国のシリコン・バリーや台湾のサイエンス・インダストリアル・パークでは、多くの優れたテクノロジーが創出されているが、シンガポールにはそうした環境が存在しない」とし、「政府はどのように研究開発(R&D)や企業家精神を涵養しようと言うのか」と質した。
これに対してヨー第二通産相は、クリエイティブ・テクノロジーのシム・ウォンフー会長にシム氏の成功がシンガポールに負うところが有るとすれば、それは何かと質問したところ、シム氏は、ハード・ワークなシンガポーリアンの特性を指摘する一方、「シリコン・バリーは創造的な活動に向いているが、シンガポールはどちらかと言えば、製品の開発や製造に適している」と答えたエピソードを披露した。
ヨー氏は、「実際のところ、シンガポールがシリコン・バリーに生まれ変わる日がやってくるとは思わない。しかしシリコン・バリーに近づき、密接な関係を保つことはできる。同時にアジアや欧州の人材が家族共々シンガポールに移り住み、創造的な制作作業に従事する環境を整えることはできる。もしそうするなら、シンガポールはテクノロジーやエントラプラナーシップの面で一定の成功を収めることができる。その反対にそうしないなら、急速に変化する来世紀の競争環境に適応することは極めて困難」と指摘した。
ヨー氏は、そうした努力の一環として、セスダック法の改正、企業／大学／研究機関の共同研究の支援、ベンチャー・キャピタルの奨励、破産法の修正とともに、サイエンス・パーク内に設けられたサイエンス・ハビタットを挙げた。電子メールや電子取引システムだけでは不十分で、サイエンス・コミュニティーには、仕事の余暇にビールを飲みながら談笑するような環境も必要と言う。(ST,LZ:3/13)