1995-04-27 ArtNo.1405
◆<星>国民の宗教地図に比較的大きな変化
【シンガポール】シンガポール国民の宗教地図に急速な変化が生じている。
1990年人口統計報告書によれば、過去10年間に国民人口に占める仏教徒の比率が26.7%から31.1%に4.4%ポイント、キリスト教徒の比率が9.9%から12.5%に2.6%ポイント、無宗教者の比率が13.1%から14.3%に1.2%ポイント、ヒンズー教徒の比率が3.6%から3.7%に0.1%ポイント、それぞれ上昇したのに対して、道教徒は30.0%から22.4%に7.6%ポイント、イスラム教徒は16.2%から15.4%に0.8%ポイント、それぞれ下降した。国立シンガポール大学(NUS)のアナリストによると、国民の宗教地図の変化はシンガポールの教育制度と深く関係しており、英語教育を受けた華人がキリスト教に改宗するケースが多い反面、中国語高等教育を受けた華人に無宗教者が増えている。また過去10年間に仏教徒が最大の増加率を示した原因としては80年代に中学の選択科目に仏教が取り入れられたことが上げられる。いずれにしても国民の教育水準の高まりとともに、迷信が捨てられ、比較的理知的と目される宗教が好まれる傾向が生じている。このことは道教信者の減少と英語教育を受けた者のキリスト教への改宗の増加に象徴されている。しかし、その実こうした変化は華人にのみ顕著(改宗者の95.5%が華人)で、マレー人やインド人が改宗するケースがほとんどないことから、華人の宗教的彷徨性を示しているとも言える。(LZ,BT:4/25,ST,4/26)
|
|