1998-02-27 ArtNo.13978
◆<星>政府、今年の経済成長予測を2.5~4.5%に下方修正
【シンガポール】シンガポール政府は今年の国内総生産(GDP)成長見通しを2.5-4.5%に下方修正した。
政府は昨年11月に1998年のGDP成長率を5-7%と予想していたが、今回の見直し後の予想成長率は1985年のリセッション以来、最も低いものとなった。この日、年次経済報告書を発表した通産省のピーター・オン第1次官補は「現状ではリセッションは予想されていない」と指摘しするとともに、「2.5-4.5%と言う予測値は、極めて不安定なバックグランドに基づいて算出されたものだが、最も妥当なもの」と補足した。同氏によると実際の成長率は、今後の域内経済の動向や域内諸国が国際通貨基金(IMF)の経済再編案をどこまで忠実に実行するかと言った要因により左右されると言う。
一方、昨年通年の成長率は、これ以前に発表された7.6%から、7.8%に上方修正された。域内通貨危機の衝撃は、米国や欧州との貿易の好調や多角的発展を遂げたシンガポールの経済体質により緩和され、昨年第4四半期になって初めてその影響が顕在化した。
昨年第3四半期のGDP成長率はこれ以前に発表された10.1%から10.7%に上方修正され、第4四半期の成長も理想的な7.6%をマーク、商業と建設業を除き、1997年には全ての部門が前年を上回る成長を遂げた。
しかしながら3カ月先の市況を反映するとされるコンポジット・リーディング・インデックス(CLI)は、第3四半期に1.7%上昇したが、昨年第4四半期には2.1%下降した。同指数がマイナス成長を記録したのは1996年第1四半期以来のことである。
今年の成長は製造業と建設業に牽引される見通しだ。これら両部門は昨年は4.3%と13.3%の成長を遂げた。運輸通信部門も昨年の9.2%の成長には及ばないものの、今年は国内経済全体に対するその比重を高める見通しだ。
これに対して域内経済のスローダウンの影響で、商業部門と金融部門は今年不振が予想される。一昨年の6.2%から昨年の5.8%に成長の鈍化を見た商業部門は、域内貿易の不振や国内需要の減退で、今年は一層の成長減速が見込まれる。また昨年11%の好調な成長を達成した金融部門もアジア・ダラー市場における域内貸付活動の沈滞等で成長の鈍化が予想されると言う。(ST,BT,LZ:2/26)
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