1998-02-25 ArtNo.13947
◆<星>法人税の1%ポイントを超えるカットは望み薄?
【シンガポール】一部のアナリストは今週金曜に発表されるシンガポールの新年度予算案において法人税率が1%ポイント以上カットされる可能性は薄いと予想している。
シンガポールの法人税率は目下26%だが、ビジネスマンらは、困難な域内経済状況から、法人税の引き下げを政府に求めている。
しかしアナリストは仮に法人税率が25%を割り込めば、シンガポールがタックス・ヘイブンと見なされ、日本等の国によりアンチ・タックス・ヘイブン条項を適応される可能性があると指摘する。そうなればシンガポールにおける利益に対する免税待遇が受けられなくなり、シンガポールと本国で二重に税を課されることになる。シンガポール政府も中期的な目標課税率を25%としており、それ以上の引き下げに関しては常にアンチ・タックス・ヘイブン条項を慎重に配慮していると言う。
しかし他のアナリストによるとアンチ・タックス・ヘイブン条項の適応に際しては、実質課税率とビジネスの内容が点検され、名目的な課税率が25%を割り込んでも直ちに同条項が発動される訳ではないと指摘する。例えばある種のビジネス支出は税額控除の対象にならず、このため法人税率が25%未満に引き下げられたにしても、実質的課税率は25%を上回ることになる。またシンガポールに設けられた現地法人が実際のビジネス活動を行っており、納税義務を回避するためのトンネル会社でないことが立証されるなら、アンチ・タックス・ヘイブン条項の適応は受けないと言う。
現在、域内において法人税率がシンガポールを下回るのは台湾(25%)と香港だが、香港は先週発表された予算案において、これまでの税率をさらに2分の1ポイント下回る16%に設定しており、シンガポールとしてもその中期目標に見直しを加える必要が生じていると言う。
国立シンガポール大学のエコノミストによると、シンガポールの法人税収は国内総生産(GDP)の6%に相当し、2%ポイントの減税はGDPのほぼ0.5%に当たる。これに対して財政収支の黒字はGDPの10%を超えているため、2%ポイント程度の法人税カットは、政府財政に何ら影響を及ぼさないと言う。(BT:2/24)
|