1998-02-03 ArtNo.13661
◆<星>世銀はアジア経済危機の社会的影響にも注目:世銀総裁
【シンガポール】世界銀行はアジアの経済危機への対応では、単に域内金融市場にのみ注目している訳ではなく、社会的影響にも関心を寄せている。
金融危機に見舞われた東南アジア及び韓国を1週間の日程で実地視察するため1日シンガポール入りした世界銀行のジェームズ・ウォルフェンソン総裁によると、失業と貧困問題の社会的、経済的影響は重要で、世界銀行のプログラムはこれらの問題にも大きな比重を置いている。
1人当たりの1日の所得が1米ドルを下回る貧困者が数千万人存在するタイ、インドネシア、フィリピンは、出稼ぎ労働者の大量帰国によっても深刻な衝撃を受ける。
世界銀行は例えば外為取引に対する課税や供託金スキームを通じて、通貨の流れを安定させる可能性を研究している。域内経済危機に対する国際通貨基金(IMF)の処方箋は誤りよりも正解が多いものと信じられる。火事場で重要なことは、火炎から退避することである。広範囲にわたる自信喪失現象が生じている現状にでは、迅速に対応策のパッケージを準備し、関係国の心理的な立ち直りを支援する必要がある。
アジア諸国政府の腐敗に関しては、世界の他の地域と相違はないが、もしこうした腐敗が問題の根元になっているとすれば、取り除く必要がある。腐敗は成長を阻害し、資産を縮小させる主要な原因の1つと言う。
この日、アジアの労働界代表と会談後記者会見したウェルフェンソフ総裁は、同日ゴー・チョクトン首相とも会談、さらにクアラルプルに赴きマレーシアのリーダーと会見した。同総裁は今回のアジア訪問期間を通じて、IMFの救済パッケージを支援する世界銀行の措置に対する域内の政界、労働界、民間業界指導者の意見を聴取すると言う。(BT:2/2)
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