1998-01-23 ArtNo.13569
◆<星>専門家の経済回復のシナリオに相違:IPSセミナー
【シンガポール】国立シンガポール大学(NUS)商学部商業政策学科主任のタン・コンヤム助教授とSocgen-Crosby Securitiesのマヌ・バスカラン重役(MD)は、政策研究所(IPS)が21日に主催した“シンガポール1997年の回顧”と題するセミナーの席上、シンガポール及び域内経済の異なる回復のシナリオを披露した。
タン助教授は、今年のシンガポールの国内総生産(GDP)成長率が3.5%にとどまると予想、国内経済はその後ゆっくり回復の軌道に乗り、来年は5.1%、2000年には7%のレベルまで回復すると語った。
しかしバスカラン重役は、今年の成長率として若干高めの5.5%を予想する一方、来年は7.3%、2000年は7.6%に加速すると、明るい展望を示した。
タン氏は、こうした低めな成長率が予想される背景として、1994年以来醸成されてきた低廉な外資と海外借款に依存した構造的弱点を掲げ、東南アジアは通貨危機以前からラテン・アメリカや中国等のニュー・プレーヤーに対する競争力を失っていたと指摘した。
しかしバスカラン氏は、中国の台頭は、欧州における19世紀以来のドイツの勃興同様、域内全体の成長を加速する刺激効果を発揮していると、楽観的見通しを示した。シンガポールに関してはディスク・ドライブ業界を除き電子業況は概して良好で、米国と欧州の経済も好調、政府支出も拡大が見込まれることから、今後成長は加速される見通しという。、(ST,BT,LZ:1/22)
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