1998-01-19 ArtNo.13513
◆<星>今年の経済成長率4.8%:南洋理工大学
【シンガポール】最近の通貨市場の激動はシンガポールの対外貿易にはほとんど影響を及ぼすことなく、今年の国内総生産(GDP)は依然として4.8%の成長が見込める。
東南アジア研究学院(ISEAS)が16日主催したリージョナル・アウトルック・フォーラムの席上、南洋理工大学(NTU)経済モデル課(EMU)のチェン・カン主任及び公共政策研究課のタン・キーギアップ主任が語ったところによると、製造業部門は通貨危機の影響もそれほど受けず、国際電子市況の回復に支えられ、6.6%の成長を実現、1998年のGDP成長を牽引するものと見られる。
BBレシオからも米国電子産業の復調は窺える。昨年の欧米向け輸出は好調を維持し、対米輸出がその後若干後退したものの、11月以降まで伸びが持続した。その実、為替レートの推移からシンガポールの輸出競争力は強化されている。Sドルの輸出加重評価為替レートは1996年末から1997年末の間に3.3%軟化したのに反して、輸入加重評価為替レートは5.9%上昇した。
とは言え製造業を除く、その他の主要経済部門は顕著な成長鈍化を見る見通しだ。ローン成長の鈍化と域内資金需要の減退で、金融/ビジネス・サービス部門の成長率は1997年の11.2%から今年は4.1%に、商業部門は貿易減退と観光客の減少で僅か2.7%の伸びにとどまりそうだ。ポジティブな側面と言えば、賃金上昇率が4%未満に収まることから、インフレ圧力が下降すること。
NTUの今年のGDP成長予測は、民間エコノミストの大方の予想(4%以下)を上回っており、シンガポール国際商業会議所のグラハム・ヘイワード常務理事は3.5%を予想した。とは言えUBS証券のアナリストは昨年12月時点の7%の予測を6%に下方修正したものの、依然として最も強気となっている。(BT,ST,LZ:1/17)
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