【シンガポール】アナリストらは15日、地場銀行6行の昨年11月末時点の不良貸付(NPL)の水準(貸付総額の2%)には、何ら警戒すべき点はないが、域内諸国の通貨危機が深刻化した12月以降の状況は不明とし、リー・シエンロン副首相の国会報告に関わらず、銀行危機が発生する可能性を指摘した。
WI Carrの調査主任は、NPL統計には時差があり、通貨危機の影響を示す統計数字を目にすることができるのは今年後半になると指摘するとともに、今年から来年にかけてNPLが総貸付の5~6%に達すると予想した。
ユニオン・バンク・オブ・スイッツランドのアナリストも今年通年のNPLは総貸付の4~5%に達し、国内に限っては3~4%になると予想した。同アナリストは、さらにこうした不良貸付に対する引当等で、6行の昨年度の平均増益率は1996年の14.9%から6.3%に鈍化、1999年には7%の減益を見ると予測した。
また匿名を希望する某銀行筋は、リー副首相が報告したエクスポージャーはローンのみで、よりリスクの大きい外為取引等のコントラ・アイテムが含まれていないと指摘した。この種のアイテムを含めると、昨年12月時点のNPLは5%前後になり、域内NPLの比率は二桁台に達する可能性が有ると言う。(BT:1/16)