1998-01-13 ArtNo.13435
◆<星>昨年の貿易統計にアジア金融危機の影響皆無?
【シンガポール】アジア諸国が通貨/証券市場の未曾有の波乱に直面しているにも関わらず、昨年初11カ月の統計から見る限り、シンガポールと域内諸国の貿易取引には何ら顕著な変化は生じていない。しかしながら貿易開発局(TDB)は新市場の開拓に一層拍車をかける方針だ。
TDBのバリー・デスカー局長(CEO)によると、国産非石油製品のマレーシアおよびタイへの輸出は昨年1~11月に、それぞれ5.3%と2%の伸びを見ており、シンガポールの貿易数字に通貨危機の影響が現れるには、約6カ月かかるものと予想される(シンガポール政府はインドネシア貿易のデータを公表していない)。
昨年11月の国産非石油製品輸出は10.7%の伸びを見ており、11カ月の趨勢から判断して、昨年の往復貿易の伸びは、目標とする5~7%のレベルに達したもようだ。(昨年通年の貿易データは間もなく発表される。)
デスカー氏によると、国産非石油製品輸出の80%に多国籍企業が寄与、その大部分が同一企業内の製品移動で占められている。また、国産非石油製品輸出の70%が電子製品で占められているため、電子産業の世界的な回復基調が続く限り、輸出の好調は維持できる見通しだ。しかしメリル・リンチが予想するように、その逆に電子需要が維持できなければ、輸出へのマイナス影響は避けられない。
TDBが先月バングラデシュに派遣した貿易ミッションには31社が参加。これに励まされた同局はパキスタンにもミッションの派遣を計画しており、南アジアへの取り組みをインド以西まで広げる。また、木曜(15日)に開催されるTDB主催のセミナー“インターナショナル・デイ”には昨年より25%多い500人のビジネスマンが参加を予定、同セミナーでは中南米、南部アフリカ、南アジアにスポットライトが当てられると言う。(ST:1/12)
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