1995-04-22 ArtNo.1342
◆<星>最高裁、大統領の改憲案に対する拒否権を否定
【シンガポール】シンガポール最高裁は20日、民選大統領が自身の権限を規制する憲法改正案に対して拒否権を行使する権利を否定した。
政府は昨年憲法条文に関わる法案に対する民選大統領の拒否権を封じるため、憲法第22条H項の条文規定に修正を加える措置を採ったが、オン・テンチョン大統領は同法案に対して拒否権を行使することができるか否かを法廷に質していた。憲法22H(1)条は、大統領権限を規制する法案に対して大統領は拒否権を行使することができると規定しているが、第5(2A)条文には憲法の主要条文は拒否権の対象にはならないとの補足説明がなされている。ところが民選大統領制度に関する憲法改正案が91年1月に国会を通過した際、民選大統領制度が依然として未完成でなお修正を要する可能性が有るとの理由で、大統領により否決された法案を国民投票に掛けることを定めた条文が含まれる第5(2A)条文だけは、4年間の発効延期措置が採られていた。したがって今日の民選大統領は自身の権限を規制する法案については例外なく拒否権を行使できるはずだが、最高裁は大統領の権限は民選大統領制に関わる憲法の全条文に基づいて判断されるべきであるとし、こうした解釈を否定した。(ST,LZ:4/21)
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