SEAnews 1997-12-22 ArtNo.13285

【シンガポール】日本電信電話(NTT)は、来年4月からシンガポール政府がプロモートするシンガポール全土をカバーした広帯域マルチメディア・ネットワーク“シンガポール・ワン”を通じ、シンガポール在住日本人(約3万人)や日本人旅行者(昨年120万人)をターゲットにライブ・オン・デマンド(LOD)サービスの試運転を開始する。
ＮＴＴシンガポールのマツヤマ重役(MD)が19日地元紙に語ったところによると、ＬＯＤはニュー・タイプのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスで、衛星通信等を通じて取得した番組をほとんどリアル・タイムで提供する。来年2月から試験を開始、4月から当面シンガポール在住の日本人数百世帯を対象に野球等の地元メディアではカバーされていない日本人向け番組を提供する。またホテルネットを通じて日本人旅行者市場の開拓も計画している。ホテルネットには目下3ホテルが参加しており、旅行者はインターネットや様々な電子インターラクティブ・サービスにアクセス、電子メールのチェックもできる。
ＮＴＴは同プロジェクトに来年200万～300万Ｓドルを投じる計画で、4、5年で採算ベースに乗せたい考えだ。ＮＴＴが海外でＬＯＤサービスを提供するのは初めてのこと。
ＮＴＴはこの他にも広帯域ネットワークを通じたマルチメディア商業サービスを提供する可能性を研究しており、シンガポール・ワン事業を促進するために政府により組織されたパイオニア・クラブへの入会も申請したと言う。
シンガポール政府はパイオニア・クラブの参加者に各種の便宜や優待を提供しており、これらには、広帯域接続に対する特恵料金、ＩＤＳ(ｲﾉﾍﾞｰｼｮﾝ･ﾃﾞﾍﾞﾛﾌﾟﾒﾝﾄ･ｽｷｰﾑ)下の70％のコスト補助、パイオニア・サービス・ステータス下の税制優遇、投資補助、二重税額控除、共同広告が含まれる。
またシンガポール電信局(TAS)も、パイオニア・クラブへの早期参加を励ますため、ネットワーク・アクセスや専用回線料金に3段階のディスカウントを設けていると言われる。
同クラブはコンテント／サービス／テクノロジー・プロバイダーをターゲットとしているが、1998年6月30日までに商業アプリケーションのサービス開始を約束するものは誰でも参加できる。(ST､BT:12/20)