1997-12-20 ArtNo.13267
◆<星>製油業界、通貨危機に伴う韓国/タイ製品の流入で打撃
【シンガポール】通貨危機に直面するタイと韓国の低価格な石油製品が相次ぎ流入する中で、シンガポールの製油業界は深刻な業績不振に陥っており、こうした状況は来年第1四半期も持続する見通しだ。
地元業界筋によれば、通貨危機で域内需要が減退した上、ローカル通貨の値下がりで価格競争力を強化したタイ/韓国の石油製品が流入したことから、シンガポールの製油業界は二重の打撃を受けている。
韓国製油業界が最初の輸出ドライブをかけた6/7月時点では、中国の需要拡大で衝撃が多少和らげられたが、過去2カ月の状況は一層悪化している。韓国通貨の値下がりで、韓国産石油製品の価格はシンガポール製油所のそれをバレル当たり60~70米セント下回っている。
日量15万~20万バレルのタイ製品の流入で、既に低迷していた市況は、日量60万~70万バレルの韓国産石油製品が加わり、一層悪化、シンガポール製油所の精製マージンはほとんどゼロからマイナスに落ち込んでいる。このため少なくともシェルとエッソは過去2カ月減産態勢を敷いている。
業界筋によると、これまで12月/1月期には需要の回復を期待できたが、今回はタイと韓国が石油製品備蓄の取り崩しによる外貨獲得に拍車をかけている上、域内需要の回復も期待できないことから、先行きは暗澹としている。加えて暖冬に伴う石油製品需要の伸び悩みも予想されると言う。(BT:12/19)
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